その物好きは廉士さんに他ならなかったのに。


くすりと笑うと怪訝そうにされる。

なにか失礼なことを考えていると思っているんだろう。


それは半分、当たっているけれど。




「さて、まずはどこから行くか」




そうだ、どこへ行こう。

あなたと一緒ならわたしはどこに行ってもいい。


どこへだっていける。



だけど、そうだなあ……まずは、







「日の出が見たい。


廉士さんの隣で、朝陽を見たいです」





さっきまで同じ場所に浮かんでいた月はようやく眠ろうとしていた。


この長い夜も眠っていなかったのに、わたしは不思議と眠くはなかった。



それどころか、これからのことを思い

胸がひそやかに鳴っている。




つないだ手はあたたかい。

わたしにはない体温を廉士さんが補ってくれているようだった。





闇を消し去るように、明るい光をふくんだひつじ雲が広がっていく。








夜が明けようとしていた。














『微温的ストレイシープ』end.