「もう全部、思い出したのか?」 「……はい」 わたしが記憶を失ったのは、もしかしたら精神的な潜水病のようなものだったのかもしれない。 監禁、という状況下で。 そこから逃げ出してきたわたしは精神的な圧迫から一気に解放されたから。 それにより精神の健康を損ねたのかもしれなかった。 ……だけど、なんだかおかしい。 まだ大事なことを、わたしは忘れているような気がした。 なにか、もっと重大ななにかを。 どうしようもできないことが、まだわたしのなかで眠っているような気がしてならなかった。