「廉士」

「当麻、お前は灯里の近くにいろ」


「廉士はどうするの」

「この戦を終わらせる」

「え、イクサ?」



その言い方に、すぐにぴんときたのはわたし。


少し遅れて、当麻さんも意味がわかったらしく

「なるほど」と言った。



戦を終わらせるということは、総大将を討ち取るということ。

つまり、廉士さんはシュトリの総長と一騎打ちをしようとしている。




でも。それをとめたのは他の誰でもない、当麻さんだった。




「へっ」


わたしの肩をつかんで、廉士さんのほうに押した。

ぽすんとその胸のなかに収まる。




「廉士、ここは俺たちだけで大丈夫だよ」

「……どういうことだよ」

「その子、大切なんでしょ?何よりも、誰よりも」



向けられた瞳はどこまでも優しく広がっていて。


当麻さんのうしろから伸びてきた敵の手を、彼は振り返りもせずに地面へと倒した。


きっとこの人の実力も相当なものなんだろう。



……総長になったとしても、見劣りしないような力が当麻さんにも備わっている。