そして戦意をとりもどし、敵のなかに単身突っ込んでいった虎牙さん。




「あ!コーガが突っ込んでった!」

「あいつ、さっきまでフラついてたくせに!」

「ヤギ。喚いてないで俺たちもいくぞ」

「だからなんで俺指名なの!?」



「あっ……」


そして声をかける前に、その幼なじみたちもいってしまった。


途中、ぽんぽんとわたしの頭に温かなぬくもりを残していって。





「ちくしょう……畜生ッ!お前ら、あいつだ!衛藤廉士を狙えっ!」



わたしたちのところにも、敵がわっと押し寄せてくる。

敵を倒しつつ、廉士さんも声を張りあげた。




「シノブは東、ヤギは西、虎牙は南でそれぞれ叩け!」


「レンレン、俺は〜っ?」

「全体の状況みて援護にまわれ!機転の利くお前ならできるだろ?」


「了解!朝飯前だよ!コーガまだ生きてるー?」

「ざっけんな!生きてらァ!」



喧噪のなか廉士さんの出した指示が行き渡り、みんなそれぞれの配置についたようで。


そのスピードも一体感も、マルバスのほうがずっと勝っているように思えた。