覚悟を決めた、その瞬間だった。




「ぎゃあ!」



まるで潰されような声。


これにはさすがに廉士さんもおどろき、目を見開いていた。


一瞬なにが起きたのかわからなかった。




……そこには穴が開いていた。



黒々としたシュトリのかべの一部が崩れて、



その後ろから現れた人物は、困ったように眉を寄せている。







「電話に出ないと思ったら、こんなところにいたんだ」



「……当麻、さん」

「やあ、榛名さん。さっきぶりだね」



場ちがいながらも、にこりと人のいい笑みを浮かべたのは当麻さんだった。