微温的ストレイシープ




暗くて下の様子がうかがえない。


落ちていった廉士さんの姿を確認することさえもできなくて。



わたし、もしかしたら目があまりよくないのかも。

ごしごしと目をこすると、なぜかすこしだけ手の甲が濡れた。



落下音も聞き取れなかった。

後ろのドアを叩く音が大きすぎる。


ここは三階だ。

ビルの三階と比べたらまだそんなに高くなかったけど、三階は三階。


9メートルは確実にあった。




「わ、わたしも……!」



割られた窓に身を寄せて、廉士さんみたいに飛び降りようとした。


猫みたいに着地したらきっといける。

そうは思えど、やっぱり身体はいうことを聞いてくれない。


直前で足がすくんで動けなくなってしまった。



廉士さんだって成功したかもわからないのに。

わたしなんかが無事でいられるわけがない。


でも、ここにいたってなにもいいことはない。
捕まって終わり。


頭ではわかっているつもりだった。