微温的ストレイシープ



「なにやってんだよ。めちゃくちゃ興奮してるじゃねーか」

「れ、廉士さん~!わたしもう喋らないです……」



やっと戻ってきた廉士さんは扉のむこうに冷めた目をむけた。

そして、




「こっち来い」

「え、ドアはいいんですか!?」

「ああ。すこしはもつだろ」



手を引かれて、わたしは押さえていた棚から身体を離すことになった。

棚だけじゃ押さえるのに心もとないけど、廉士さんにはなにか作戦があるのかな。


ぴたりと廉士さんが足を止めて、すこし先にあるガラス張りの窓を見すえている。


あいかわらず背中のほうからはドアに当たる音。




「れ、廉士さん、どうするんですか?わたしたち助かるんですか?」

「……俺がしくんなかったらな」

「へ?それどういう……」

「お前はあとから降りてこいよ」



まるで言っている意味がわからない。


降りてこい、って出口はどこにもないのに。

廉士さんは一体どこから降りようとして……