三つめをドアの前まで運んだ瞬間、向こう側からドン!と何かが当たる音がする。
「畜生!開けやがれ!」
「ひえ、ごめんなさい無理です!」
比較的、感情のこもった声。
おそらくシュトリの人じゃない。
わたしを追ってる人たちだ。
ダン!ダン!っと何度も何度も体当たりするような音。
それを必死に棚の上から押さえつつ、わたしも声を張り上げた。
「あの!わたしたちってどこかで会ったことありますか!?」
「はあ!?」
「ごめんなさい、わたし記憶を失っててなにもわからないんです!あなたたちのことも」
「記憶喪失?面白そうじゃねーか!」
「いや全然面白くないんですってば!」
こうして会話ができているということにすこし驚いた。
だってなにを話しても聞いてくれないと思い込んでいたから。
もしかしたら、話せばわかってくれるのかもしれない。



