「多対一でしか挑めない時点で負けてると思わないんですかっ!自分に自信がないんでしょ、勝てないってわかってるからこんな方法取るしかないんでしょ?惨めだと思わないんですか?それがあなたたちの仁義なんですか!?」
「おい、榛名……」
「こんなことしてなにが楽しいの?何のためになるの?一体なにが残るっていうの!」
わたしに啖呵を切る権利はないけど、それでも言わなきゃ気がすまなくて。
階段を上っていた男たちの速度がぐっと増した。
心なしか能面のような顔にも青筋が立っているような気がする。
そこでようやくハッとする。
「ひえ……い、言っちゃった、やっちゃった!ごめんなさい廉士さん!」
「もういい!上に行くぞ」
「え、でも上に行ったら……!」
「じゃあ他に行くところはあるのか!?」
っ、ない、けど。
言うとおりにするしかない。
幸いにもまだ3階に通じる階段は無事だ。
「廉士さんっ!」
「先に行ってろ!俺もすぐに行く」
その言葉どおり。
何人かの敵を倒した廉士さんもわたしの後を追って階段を上ってきていた。
わたしたちの置かれた状況は変わってない。
むしろ悪化しているのにもかかわらず。
「っはは!めちゃくちゃ言うじゃんお前!あーすっきりしたわ」
後ろから聞こえてきた廉士さんの笑い声はどこまでも透き通っていた。



