そこからはもう大乱闘だった。
前、後ろ、横。
どこに誰がいるのかわからない。
どこから出てくるのかわからない。
飛んでくる怒声、攻撃、……血。
わたしは、まだ生きていることが不思議なくらいだった。
もちろん前にいる廉士さんも。
飛び交う血が廉士さんのものではないことを祈ることしかできなくて、わたしはとにかく捕まらないようにするのに精一杯だった。
廉士さんはわたしを守ってくれているのに。
わたしはなにも返してあげられない。
「榛名!下に降りろ!」
「っ、だ、だめ!上がってきてます!」
「はあ!?まだいんのかよ!」
のぞき込んだ階段にはこちらを指さして駆け上がってくる人、人、人。
本当に何人いるの?
なんで……なんで、わたしたちを追っているの?
シュトリの人らしき男たちが目に入って。
なんだか無性にムカムカした。
かあっと頭に血が上るようだった。
最初からずっと廉士さんは一人で戦ってるのに。
なんで、あんな涼しい顔ができるの?
……おかしいよ。
こんなの絶対におかしい。
「こんのッ……卑怯者!バカ!」
気づいたら階下に、そう叫んでいた。



