微温的ストレイシープ



「わりー俺だわ」



開き直るようにして。

わたしたちの下に散らばっていたガラスの破片をじゃり、と廉士さんが足で擦る。


もう声のトーンを落としている様子もなければ、座り込んでいる様子もない。


いつの間にか立ち上がっていた廉士さんは、わたしたちの存在に気づいて向かってきている敵を見据えていた。




「いたぞ、あそこだ!女もいる!」


声が近づいてくる。




「い、いまの!わざとですか!?」

「わざとじゃねーよ。ほんとに、たまたま」



絶対うそ!絶対うそ!!





「つかまえたぞ!」


声が聞こえて振りかえると、すぐ後ろで無骨な手がこちらに伸ばされていた。



と、同時。

廉士さんの声が飛んでくる。




「死にたくなけりゃ頭下げてろ!」

「はいぃっ……!」



わざと音を鳴らしたのかそうじゃないのか。

もうそれを確認するすべも、時間も残されてはいなくて。



だんっと木箱に手をついた廉士さんがそれを乗り越え、先陣を切っていた男の顔面に鋭い蹴りをいれた。