「そ、れは……いまから考えます」
「お前の考えは甘いんだよ」
「ったしかに、そうかもしれないけど」
そうかもしれない。
廉士さんの言ってることのほうが正しい。
もうこんなところまで来て、安全に済ませる方法なんてきっとないのに。
「……まあ。でも、」
廉士さんは続ける。
「それがお前のいいところなんだろうな」
「廉士さん」
「行くぞ。隙をみて下に降りる」
悠長に考えている時間はないんだろう。
いつもわたしの先を行き、先のことまで考えている廉士さんは頼もしくて。
2階に人が来る気配がした。
足音が近づいてくる。
わ、近い……
これ、すぐ後ろにいるんじゃない?
息を殺して物陰を、何かよくわからない木箱の後ろをしゃがんで移動していたときだった。
──────パキン!
空間に広がる大きな音。
一瞬頭が真っ白になる。
何の音?
ガラスを踏んでしまった?



