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「いるか?」

「っ、え?はいっ……い、いますっ!」

「……いねぇじゃねーか。お前がいんのは知ってんだよ」


わたしの言葉に後ろを確認した廉士さんは速度を緩めた。


なんだ、わたしじゃなくて追っ手のことだったんだ。


撒くことができたと言っていいのかわからないけど、少なくともいま後ろにあの人たちはいない。



そして、顔を前に戻そうとしたときだった。




「うっ、わ……」


がくんと膝が揺れて、地面に崩れ落ちそうになる。

すんでのところで支えてもらわなければきっと倒れていただろう。



「ごめんなさ……ありがとう、ございます……ちょっと、疲れちゃって……」


ちょっとどころじゃなく、いまにも心臓が飛び出そうなくらいドクドクしてる。


息ひとつ乱していない廉士さんの身体にもたれかかるような形になっていた。



ああ、情けないな。

情けないって思われてるんだろうな。