「その子には何があったの?」


核心に踏み込んだ瞬間、運命がそれを邪魔するように。


美穂が机の上に音を立てて鞄を置いた。


私たちの会話は中断される。


「ハナのこと虐めてたんじゃないでしょうね」


私が絡まれていると思ったのか、喧嘩腰にそう言う。


美穂が友達出来ないのはこの強気な性格の所為もありそうだ。


「昨日の授業で分からなかったところを教えてもらってただけだよ」


私が水憐の過去を探ろうとしていたことがバレると困る。


少しも勉強の話なんてしていないのにそう誤魔化した私を、前に座る彼女が戸惑いの目で見た。