違う学校でも水憐の姫ならその話題も上がるのか、彼女の口から出たのは小谷沙耶の話だった。


一先ず私のことじゃなくて良かったと安心する。


「どうして?」


「アイツは來に近付く女を黙って見てないから。女を排除する為には何だってするよ」


愛されていないのに。愛されているという錯覚か、それとも愛されていないが故の執着か。


そう、彼女がどんな手を使ってでも自分の隣に誰も並ばせないのは知っている。


先に女がいれば腕を引っ張り底へ沈め、後から女が来れば上から突き落とす。


來たちはその本性に気付いていないのか、小谷沙耶は姫に君臨し続けている。