「華月…、」


肩に手を添える紘斗が、私を気遣う。


復讐どころではなくなった。もう私にはそんな気力は残っていなかった。


悲しみなのか、失望なのか。そもそもどうして私はこれほど動揺しているのか分からない。言葉では言い表せない感情が波打って冷静でいられなかった。


きっと紘斗は不完全燃焼だろうに、私の為にこの場を出ようと言ってくれる。


予想外の結末。飛鳥の復讐の為に此処に来たのに、あの子の裏切りを知ってしまった私たちは、凍りついたように黙ったままの水憐を後にした。



何度振り返っても、來は私を見ることは無かった。