「他にもいろいろ言っていたぞ。塩味を摂り過ぎてはいけないとか、騎士のように体を鍛えたい人に適した食材があるとか。小せえくせに、なかなかできる奴だぞ」

ヒューバートに〝できる〟と言われていることに驚いた。彼は気のいい親しみやすい人柄だが、仕事……特に料理のこととなるとこだわりが強く、なかなか厳しい人物なのだ。その彼に、ほぼ手放しで褒められのは珍しいことであり、それだけユーリは認められているということだ。

「へえ……確かに、さっぱりして食べやすいが……」

そう言いながら、レモンをもう一つ掴んで、目の前にかざす。

「これがそんなに効果のある物なのか?」

「さあな。おれには難しいことはわからねえ。ただ、味はどうかと言われたら、こいつは悪くない。調理場の稼働中は、常に暑さにさらされる。最近は手の空いた時に、お嬢ちゃんが大量に作ったこいつをつまむのさ。気分転換にもなるし、シャキッとするぞ」

試す価値はあるのかもしれないな。