世継ぎが必要なことは、十分にわかっている。ならばせめて、私の仕事の邪魔にならず、出しゃばらずにいられる、貴族とのしがらみのない女性を望む。それこそ、夢物語に過ぎないのだが。
最後の手段は、弟王に押し付けるか……

後どれほど、このままの状態を許されるのだろうか。婚姻問題をのらりくらりと躱し続け、女嫌いを隠さずにきたが……

「限界かもしれんな」

開いたままにしていた書物を閉じて、棚に戻した。お妃問題はともかく、今は異世界から来たユーリのことだ。

「近いうちに、会うしかないな」