「しかし、ユーリがルイス様に対して、思い違いを起こすようなことがあれば別だ」

にわかにユーリが身をこわばらせた。

「思い違い……」

「ルイス様は、騎士としても王太子としても、優れたお方だ。おまけに、女性からしたら随分魅力的な容姿をされている。ユーリなら、間違いを起こすことはないと思っているが、万が一ルイス様に言い寄るようなことをすれば、国を追放されるか、場合によっては命はないものと思っておけ」

「そ、そんなこと、微塵も思いません。こうして、私をここにおいていただけるだけでありがたいんです」

力説するユーリに頷き返してやると、彼女は小さく息を吐き出した。

「ブラッド様、お願いです。何か私に仕事をください。料理に関することでなくてもよいので。私がここにいていいという理由が欲しいんです」