「昨夜助けたという、女の話か?」

「はい。報告します」

「ああ」

「まず、あの女性の名はユーリというそうです。元々、日本という国に住んでいたようで……」

「日本?聞いたこともないな」

ここでやっと、ルイスがこちらに目を向けた。聞き慣れぬ名に、警戒心を強めたようだ。

「はい。それがどうも様子がおかしくて。決して、我々に害を及ぼそうとする意図は感じられないのですが……」

「なんだ。簡潔に話してくれ」

「ユーリが言うには、自分は随分昔の世界か、はたまた異世界にでも迷い込んだようだと申しておりました」

「はっ、くだらない。ふざけているのか?」

「いえ。私もにわかに信じ難いのですが、昨日のユーリが着ていた衣服は、確かに全く見慣れないもので、とにかく、近隣国の者ではないと思います」

「衣服など、どうにでもなるだろう」