異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「だって……だって、ここのところ、いつも遅くに帰ってくるじゃない」

「それは、仕事が立て込んでいて……」

「それに、一度湯あみを済ませているはずなのに、ここへ戻って来る前にもう一度入ってくるでしょ?」

それはその通りだ。香ばしい匂いを消すために。

「どこの誰のところに通っているのか知らないけれど、そんな手で私や子ども達に触れないで」

ユーリから放たれた言葉があまりにもショックで、体が硬直した。ユーリの寂しげな瞳に、ズキリと胸が痛む。

どうやら、秘密の行動がユーリに誤解を与えてしまったようだ。

「ユーリ、落ち着いて聞いてくれないか?」

一瞬体を強張らせたユーリだったが、口元をギュッと結ぶと、覚悟を決めたように私を見据えた。
返事はなかったけれど、ユーリをこんなに悲しませたままではいられず、ここ数日の秘密を打ち明けることにした。