異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

ー数日後ー


「はあ……」

このところ、ユーリが浮かない表情をすることがある。何かあったのだろうか?

「ユーリ。どうかしたか?」

「……なんでもないよ。あっ、もうこんな時間だ。行ってくるね」

私に何かを言わせる間も与えないで、騎士達の元へ向かったユーリ。
剣術の時間か……

ユーリは今でもまだ、時間が許せば騎士達に混ざって剣を握っている。
急に王妃という立場になったユーリ。日々、想像以上の緊張を強いられているのだろう。
剣を持つ時間は、無になれる大切な時間だと話していた。

ユーリもいなくなってしまったことだ。早めに休憩を切り上げて、執務室へ戻ることにした。




しばらくすると、ブラッドがやってきた。

「ルイス様。少しだけお時間よろしいですか?」

「なんだ」

「ユーリ様のことですが……」

〝ユーリのこと〟と聞いて、手を止めた。彼女に何かあったのだろうか?