異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「通してくれ」

「ただいま!お父様。お兄様」

待ちきれなかったという勢いで駆け込んできたのは、エルクの妹で4歳のプリシラだ。

「おかえり、プリシラ、ユーリ」

「ただ今戻りました」

「プリシラ、王都はどうだった?」

エルクが尋ねると、嬉しそうな顔をして話し出した。

「うんとね、イアンがね、これをくれたの!!」

そう言って見せてくれたのは、庭で摘んだであろう朱色の花と、文のようなものだった。
イアンとは、王都でパン屋を営んでいる店主の息子だ。

「見てもいいのか?」

「うん」

広げてみれば、そこにはプリシラの好きな蝶の絵が描かれていた。