両親共に王城勤めで、特にユーリとライラが親しくしていることもあり、どうせならとブラッドとライラの新居は王城内に用意をした。まあ、ブラッドは「プライベートな時間まで、ルイス様に縛られたくはない」と、最後まで失礼なことを言って拒否していたが。幼妻ライラのお願いは、無碍にできなかったようだ。

エルクとメラニーは、幼い頃からずっと一緒に育ってきた。兄妹のようだと思ってきたが……どうやら息子には、違う感情が芽生えてきたのだと微笑ましく思う。

いつも「エルク、エルク」と呼んで、後をついて回るメラニーのことが好きで仕方ないようだと、ユーリから聞いてはいたが……心の中でクスリと笑うも、決して表には出さないでおく。


「エルク。逆に、私の悩みも聞いてくれるか?」

「お父様の!?」

父である前にこの国の王である私は、エルクにも王としての厳しい姿を見せてきている。親子として自然体で接することはもちろんあるが、弱みを見せるようなことはしたことがない。
だからであろう。私の悩みと聞いて驚きつつ、興味津々といった様子だ。