異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「レジーナ嬢付きの侍女を」

ルイスもまた、レジーナの言葉を聞き流して、ドア付近に控えていた騎士に指示を出した。間を開けず、すぐに件の侍女らしき女性が入室してきた。

「身分と名前を」

「王城付き侍女の、ケイシーと申します。先日まで、リッチモンド家でレジーナ様の侍女を務めておりました」

かなり緊張しているようで、レジーナ達には一切目を向けず、小さめな声で話した。

「王城付き？」

レジーナとリッチモンド公爵が反応して、ケイシーを睨みつけた。ケイシーは小柄な体をビクリとさせ、俯いてしまった。

「ケイシーは身寄りがなく、リッチモンド家に雇われるまで施設で暮らしておりました。ケイシーにとって、リッチモンド家の人々は恩人であり、何を言われても逆らえずにいました」

侍女長が、ケイシーの生い立ちを説明していく。