異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「ルイス様。ユーリがついてこられてないですよ」

ブラッドはニヤリとしてそう告げると、身を翻して陛下の元へ向かった。もちろん、ルイスに怒る様子はない。

「ああ、すまない」

不意にはにかんだ笑みを向けられて、ドキリとする。


確かに、ずっと一緒にいるとは言ったけれど、3ヶ月以内に結婚って……

「そもそも、ユーリと私は婚約しているのだ。結婚を進めることに、なんらおかしなことはない……というのは建前だ。本音を言えば、ユーリを誰かにとられたくない。失いたくない。早く、私のものだという証が欲しいのだ」

ああ。この人はなんで不器用で、怖がりな人なんだろう。きっと、望めば手に入らないものなんて何もないだろうに。たった一つ、私がいなくなってしまうことを恐れているのだ。失礼ながら、ルイスのことが意地らしく思えてしまう。

ルイスに向き合うと、背伸びをしてそっと口付けをした。そして、ぎゅっと抱きしめて囁いた。

「あなたがここにいる限り、私はどこにも行かない。ずっと横にいる。あなたが私を必要としてくれる限り」

「ユーリ……」

ルイスも応えるように抱きしめ返してくれる。その心地良い温かさを感じながら、心に誓った。

私はこの世界で生きていく。