異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「そんなの……うそ……」

「うそじゃない。騎士達からも、ユーリに忠誠を誓うと伝えられた。もちろん、調理場からも」

ルイスはおかしそうに小さく笑った。きっと、ヒューバートのことを思い出しているのだろう。

「あとは、この事実を貴族らと長老達に突き付けるだけになっていた。いくら奴らでも、民の総意を無視することはできなからな。
だが、一つだけ、気がかりなことがあった」

「気がかり……?」

「ああ。以前、孤児院でユーリを襲った男だが、調べたらリッチモンド公爵とつながりがあった。夜会の場で、私に向ってきたレジーナ嬢の家だ」

レジーナと聞いて、ハッとした。

「長老が、側室にと話していた……」

「そうだ。レジーナは、長老が選んだ者の中で、次期王妃の有力候補だった。リッチモンド家は、一番有力な貴族だからな。おそらく、さっきの長老と裏でつながっているのだろう。ユーリを亡き者にして、娘を王妃にしようと画策していたようだ」