異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「そんなことはさせられない。ユーリを手放すことなど、できるはずがない」


「それは、王家の繁栄のためにですか?」


自分でも驚くぐらい、低く冷たい声が出る。

ルイスは表情を歪めた。

「やはり、さっきの長老とのやりとりが聞こえてしまったんだな」


不意に、扉を叩く音が響いた。

「ルイス様。こちらにいらっしゃるのですか?」

ブラッドだ。
どうやらルイスは、扉に鍵をかけていたようで、ブラッドの他、複数の人が必死に扉を叩いている。

「ブラッド。私は大丈夫だ。よいというまで、そこに待機していてくれ」

ルイスの指示に扉の向こうが静かになる。

ルイスは再び私に目を向けた。そして、まるで愛しい者を見るかのように目を細めた。今の私には、彼がそんな表情をする意味がわからない。