異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「悠里ちゃん……」

「こむぎ。私、元の世界にかえ……」

「ユーリ!!」

元の世界に帰りたいと、心の底から願えば戻れるってこむぎが言った。それならと、願いを口にしようとした時、私の名前を呼ぶルイスの声にかき消されてしまった。

「ユーリ、待ってくれ」

振り返ると、息を切らし、髪を乱したルイスがいた。必死に追いかけてきたのがわかる。

でも、今はルイスの側にいたくない。

「こむぎ」

震える声でこむぎを呼び寄せ、腕の中に抱きしめた。ルイスはそれを、複雑な表情で見ている。

「悠里ちゃん。僕は悠里ちゃんを苦しめるのは、誰であっても許さない」

こむぎを抱きしめる腕に、ぎゅっと力を込める。
涙は後から後から流れてくる。それに気付いたルイスは、切なげな目をした。
なんでそんな目で私を見るのかわからない。繁栄のために選んだ王妃だと言っていたのに。