異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

事件から数日後、ルイスからお茶の誘いを受けて、ライラとブラッドと共に、約束した中庭へ向かっていた。中庭はすぐ近くで、城内の様々なところに見張の騎士もいるとあって、珍しく少人数で移動していた。

その途中、ジョナスに呼び止められたブラッドは、すぐさま違う場所へ行かなくてはならなくなってしまった。ジョナスも、他に知らせる相手がいるらしく、ブラッドに用件を告げると、素早く去っていった。

ブラッドは別の騎士を用意しようとしていたけれど、中庭はもうすぐそこだ。

「さすがに大丈夫です。ほら、もう出口も見えているし、見張の騎士もいます。ライラだっているんだし」

本来侍女であるライラだけれど、ここのところは自ら志願して、騎士達から戦う術を習っている。
ブラッドは急を要していたようで、ほんの一瞬迷ったものの、私をライラに託し、見張の騎士に声をかけながらその場を後にした。

「もう。心配し過ぎなのよ。ここは城の中なんだし」

息苦しさを感じるようなこの護衛体制に、若干嫌気もさしていて、そんな軽口を叩く。