王城内は何かをするまでもなく、ユーリの存在が好意的に受け入れられてきた。それは、彼女自身の言動で勝ち取った信頼が根底にある。
私自身、彼女が異世界から来たことと関係なく、その人間性に惹かれた。
現国王陛下と王妃も、兼ねてからユーリに関する報告は受けており、好意的に受け入れている。

問題は、民に受け入れられるかどうかだ。

どうしたものかと、考えていたところ、騎士や侍女達をはじめ、ユーリと行動を共にした者達から、その様子や人々の声が次々と寄せられてきた。どれも好意的なものばかりだ。

それに加えて、これまで街中でも傲慢な態度をとっていたら貴族ら、並びにその娘達への不満もあって、ユーリを王妃にと望む声は自然と上がり、その声は思わぬ速さで地方へと広まっている。

「ユーリは、自力で示してくれたな」

誰に聞かせるともなく呟いた一言に、ブラッドが反応した。

「そうですね。正体のわからない彼女を、あなたに近付けることを最初は迷っていましたが、今となってはこれでよかったと感じています」

誰に対しても、厳しく公平に接するブラッド。そんな彼が、ユーリと出会って早い段階で、彼女のことを信頼していたのはわかっている。