ユーリとの婚約を宣言して以来、側近に命じて彼女と過ごす時間を確保するようにしてきた。彼女はどんな時も私を優しく迎え入れて、私の癒しになっている。

「最近のルイス様は、時折笑みを浮かべている。お幸せそうだ」

「丸くなったというか、厳しさは変わらないけれど、冷たさを感じなくなったというか……」

陰でそんなやりとりがされているのも知っている。まあ、それも良いのかもしれない。女嫌いで有名な王太子が、一人の女性と出会って良い方へ変わったとなれば、自ずとユーリの評判も上がるだろう。

ユーリを、有力な貴族達や長老達に認めさせる必要がある。貴族達は、表面上はともかく、内心ではそう簡単には認めないだろう。というより、認めたくないのだ。出自が明らかでない、正体不明な人物が、この国の王妃となることを受け入れられないことは、想像に難くない。
ならば、周りから攻めていくしかない。王城内の者達、この国の民にユーリが認められていけば……
民の総意となれば、貴族達も認めざるを得なくなっていくだろう。

そのためには、どうしたものか……