ルイスの婚約者になって、大きく変わったことがある。それは、どこへ行くにも複数の護衛が付くようになったことだ。ライラにいたっては、唯一近くにいる女性だということもあって、文字通り、常に一緒にいる。

加えて、この国の歴史を学んだり、作法を学ぶ時間が設けられたりした。学ぶことは好きで、苦にはならない。けれど、冷静になるとその背負うものの大きさに怖くもなってくる。

常に気を張って過ごすようになってしまった。でも、短い時間であってもルイスが毎日部屋を訪れて、私の気持ちを聞いて包み込んでくれるから、なんとか前向きでいられた。


逆に、変わらないこともある。時間の許す限り騎士達と共に剣を交わしていた。レモンの蜂蜜漬けはさすがに作っていられなかったけれど、レシピを残したおかげで、調理場の担当者が作ってくれている。

気晴らしに、調理場を手伝うこともある。先日は、ヒューバートと共に王都へ買い出しにも行った。もちろん、護衛と共に。
城を出る時は必ず、ルイスから送られたネックレスをつけるように言われていた。従ってはいたけれど、ただでさえ高価なものを普段使いのようにするのはちょっと怖い。それに、つけなければいけない意味はよくわからない。