異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

私一人が戸惑っている中、夜会は着々と進んでいく。

「今宵、ここに集まってもらったのは、王太子であるルイスの妃となる者、及び側室となる者を選出するため。これまで長老達によって、幾度となく審査を行なってきたが、それも今宵までのこと。ルイス本人が、最終決断をする」

なんてことだ。どうやら私は、王太子のお妃選びの場に招待されたらしい。

どうしよう……想いを通じ合ったばかりだというのに、これじゃあ早くも別れなきゃいけないってことじゃない……
お妃選びの場に、私が想いを寄せていることを知っていて招待するなんて……

「ユーリ」

ブラッドが振り返って声をかけてきた。

「さっきのクリスからの伝言を、覚えているな?」

ハッとした。彼は私のことを信じていると伝えてきた。
ブラッドに頷き返して、小さく息を吐く。すっと背筋を伸ばすと、クリスが……ううん。ルイスがいる方をじっと見据えた。驚いたことに、彼もまたこちらを見ていて、小さく頷いた。