異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

ホール内には、先日王都で見かけたよりもさらに豪華でボリューミーなドレスに身を包んだ、妙齢の女性達が集まっていた。ざっと30人ほどだろうか?その横には、これまた貴族だと主張するような衣服を着た、父親と思われる人がついている。
他にも、若い男性も多く来ていた。服装からすると、この人達もそれなりに身分の高い人だと思う。

大柄なブラッドの背に隠れているせいか、私に気付く人はいないようだ。

ホール内を見渡せば、そこかしこに騎士達が配置されている。前方には、豪華な椅子が並べられていた。


何かの合図て、ホール内の音が一斉に止んだ。人々の目は、一様に前方に向けられている。つられてそちらに目を向けると、先日初めてお会いした陛下が入ってきた。顔色からするに、体調は随分良さそうだ。続いて、豪華なドレスに身を包んだ女性が入室してくる。陛下は真ん中の椅子に腰を下ろし、女性はその隣の椅子に着席した。おそらく、王妃様なのだろう。

それから間を開けて、男性が入室してきた。と同時に、ホール内にいる女性達の間に、小さなさざめきが起こる。少しでも近付きたいのか、女性達の足が自然と一歩ずつ動く。途端に、私の視界は遮られてしまった。

思わず背伸びをしてみると、最後に入ってきた青年が、もう一つの椅子に座ろうとしていた。