異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

夜会の開かれるホールの外に着くと、中からざわざわとした話し声と、楽器の音が聞こえてくる。いよいよだと思うと緊張感が増して、すっと背筋を伸ばした。

「これから中に入るが、結構な人数が集まっている。はぐれないように、必ず私の側にいること」

「はい」

「それから、クリスからの伝言だ。今夜はユーリを驚かせてしまうかもしれない。しかし、私の気持ちは嘘偽りがない。私自身を好いてくれたユーリを信じている」

驚かせる?
なんのことだろう……今日はダンスをするだけのはず。

「どういうことでしょうか?」

私の問いに答えないまま、ブラッドはそっとホールに入り、私を招き入れた。ライラは外で待機させるようだ。