異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

クリスに引かれていた手は、いつのまにか私が引く側になって、様々な店を見て回った。

散々迷った結果、伸びてきた髪をどうにかしたくて、ゴムやピンを購入した。クリスは、飲み物を買ってくれて、ベンチで休憩しながらとりとめのない話をした。

何度も顔を合わせてきたから随分親しくなっていたけれど、今日のこのデートで、その距離はますます近付いた。
クリスは私にいろいろな面があって魅力的だと言うけれど、それはクリスの方だ。厳しい目をすることもあれば、無防備に笑い声を上げることもある。その合間で、すごく甘くもなる。ふとした瞬間に、頬に手を当てられたり、中途半端に伸びた髪をそっと退けてくれたり。そのたびに、胸がドキドキしていた。