異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

お店を出て、すかさずクリスに尋ねてみる。

「私のために、あのドレスを用意してくれるの?」

「そうだよ。ユーリには、私が選んで私が贈るものを着て欲しい」

クリスの言葉が嬉しくて、思わず笑みが浮かぶ。

「ありがとう」



王都へ来た目的はこのドレスだったようで、その後は約束通り、露店を見て回った。わずかとはいえ、調理場を手伝うようになって以来、給料をもらっている。まだ一度も使ったことはないけれど……
なんだか、子供の頃に行ったお祭りの出店を思い出して、ワクワクしてくる。クリスはそんな私を見て、おかしそうに言った。

「ユーリは不思議な女性だな。大人びた人だと思えば、こんな可愛らしい一面もある」

「子どもっぽいって言ってる?」

少しムッとして言うも、クリスは肩を揺らしている。

「いや。いろんな面があって魅力的だと言ってるんだ。勇ましくて、繊細で、純粋な人だ」

「い、言い過ぎ」

真っ赤になって俯けば、クリスはたまらないといったように、遂に声を上げて笑った。