異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

連れてこられたのは、衣装屋だった。店先には様々な生地やビーズのような飾りが並べられているのを見ると、どうやらオーダーメイドで仕立ててくれるお店のようだ。


「いらっしゃいませ」

「先日頼んでおいたものの試着に来た」

白髪の店主は、クリスを見て緊張したように背筋を伸ばし、恭しく頭を下げた。事前に話が通してあるのか、顔を見ただけで店主は動き出した。

「はい。少しお待ちください」

しばらくすると、先ほどの店主に続いて、若い女性がドレスを運んできた。

それは今着ているものよりももっと薄い空色で、まるで太陽の光の下で見るクリスの瞳のようだった。ロング丈で、胸元が少し広めに開いていて、背中側はそれよりもさらに大胆に肌が見えるデザインで、大人の雰囲気が漂っている。マーメードラインで、腰回りはすっきりと絞られており、スリットが入れられている。
さっき街中で見たような、レースがふりふりに施されているドレスとは全く違う、自然と着てみたいと思うものだった。