異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「大丈夫か?」

なんとか笑いを止めると、コクリと頷いた。

「ごめんなさい。私にはああいうドレスの良さがわからなくて。動きにくいし、そこにいるだけで場所をとるし、全然実用的じゃない。ああいうのは、なにか特別な時だけ着るものだって思う。命令されたって、普段着にはできないわ」

貴族の娘にとって、そのドレスが実用的かどうかなんて、考えもしないだろう。それはあくまで、地位の象徴でしかない。異世界から来た私には、あんなドレスを着るなんて、イベントとしか思えないけど。

「クリス。まさか夜会で、私もああいうのを着るの?」

突然その可能性に気が付いて、顔を引きつらせてしまう。それを見て、クリスは悪戯っ子のように笑った。

「私が着てくれと言ったら、ユーリはどうする?」