異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「……正体のわからない私でも、一緒にいていいの?」

「私がユーリに一緒にいて欲しいと思っているんだ。ユーリは私が何者であるか、地位や生い立ちに囚われることなく好いてくれた。そんなユーリだからこそ、私は惹かれたのだ」

「クリス……」

「私と一緒にいてくれるね」

強引なようで優しい口調のクリスに、自分がどうしようもなく惹かれていることをますます自覚してくる。

「はい」

気持ちのまま素直に返事をすると、クリスは満足そうに微笑んで、再び私の手を取った。いつもなら、脇目もふらないように足早に歩く彼が、今日は私に合わせてくれている。