異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「元の世界のこととか、ここの人間ではないとか、どうしようもできないことは、今は忘れてくれないか?」

彼の真意が知りたくて、その先の言葉を待つ。

「今はただ、君のことを慕っている私と、私を慕ってくれているユーリでいて欲しい。何にも誰にも遠慮しないで、全ての心配事を忘れて」

少しだけ迷いはあったけれど、クリスの空色の眼差しに吸い込まれるようにして、「はい」と頷いた。

「ありがとう。もし君が、元の世界に戻りたくなって、それが可能であるならば、私はそれに全力で協力しよう。私の持てる全ての力を尽くそう」

思いの外力強い言葉に、ゴクリ吐息を飲み込む。彼の真剣さが伝わってきて、胸が震えた。

「もし、そんな時が来るのだとしたら……それまで、その時が来るまでは、私と共にいてくれないだろうか?」