異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

翌日、早い時間から鏡と向き合っていた。
クリスのくれた空色のワンピースがとても素敵で、メイクも髪もなにもしないままだと、服だけ浮いてしまいそう。だから、少しでも見合うように奮闘しているのだ。

メイクなんて、こっちに来てから全然していなかった。今日はライラが、薄付きなのに上品さの漂うように仕上げてくれた。
手先は割と器用な方だったから、ヘアアレンジは自分でやってみた。とはいえ、ショートにしちゃったからやれることは限られている。片側のサイドだけ編み込みにしていけば、少しだけ華やかになったと思う。



なんとか仕上がった頃、ブラッドが迎えに来た。

「ユーリ、これを」

そう言って渡されたのは、短剣だった。ぎょっとして、ブラッドの顔を見る。


「城から出るということは、いつ何時誰かに襲われてもおかしくないということだ。王都は比較的安全な場所だが、念には念をと、クリスから預かってきた」