異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「ライラ。私ね、ここへ来る前は嫌なことばかり続いていたの。好きだった人には裏切られるし、好きじゃない人にしつこく言い寄られて、断っていたのに周りの女性から妬まれるし。結果、意地悪されてばかり。男の人のことは、当分いいやって思ってたの。それに、言い訳と言われたとしても、やっぱり私はこの世界の人間じゃないでしょ?」

「ユーリは……元の世界に戻りたいのですが?」

「……よくわからない。元の世界でも、何もかも捨てて、誰も知らない場所でやり直したいって思ってた。だから、ここへ来てしまって戸惑ったなりに、ここに馴染もうって、すぐに気持ちを切り替えられたの。ライラもブラッド様も、みんな私によくしてくれるしね。
ただね、それでも不安なものは不安なのよ」

「ユーリの不安は、私の想像を超えたものだと思います。でも、クリス様を信じてあげてください。そんな不安を忘れさせてくれるぐらい、素晴らしい方です」

「そうね。ライラの言う通り、クリスは素晴らしい人ね。
うん。ここでうじうじ考えていてもしょうがないわね。とにかく、明日クリスと会ってみてからだわ」