異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

一番最初に助けてくれたブラッドに対しては、兄のような親しみを感じている。調理場のヒューバート夫妻は、まるで両親のように思っている。ライラはもちろん親友だ。副団長をはじめ、騎士達は同志のような存在だ。

それじゃあ、クリスは……？

尊敬する異性で、いつも私の存在を認めてくれる人で……
友人？
ううん。そんなものじゃない。
兄？
とも違う。

「……好きなのかもしれない……」

私の呟きに、ライラが嬉しそうに微笑む。

「えっ、ちょっとライラ！なんであなたが嬉しそうな顔をしてるの？」

「クリス様は、これまで異性に贈り物をするなんて、一度たりともありませんでした。それが、ユーリにこんな素敵な贈り物を……ユーリもクリス様のことが好きだなんて、こんな嬉しいことはありません」

「ま、待って。好きかもと言っただけよ」

「往生際が悪いですよ」

ライラの言葉に、うっと言葉に詰まってしまう。一度心を落ち着かせて、考えを巡らす。