陛下の元を後にして執務室へ戻ると、すぐさまブラッドが来た。

「何用だ、ブラッド」

「長老達から、決定事項としての要望ですが、2週間後、ルイス様のお妃選びを主とした夜会を開くとのことです。招待される候補は31名。その中から、お妃様と数名の側室をお選びいただくことになります」

ついに、長老達の我慢の限界がきたということか。
心底うんざりした顔をしていたのだろう。ブラッドが眉間にシワを寄せた。

「候補ですが、ルイス様のご希望があれば追加することもできます」

長年側で仕えているブラッドだからこそ、加えられた発言だろう。私の心の内など、わかり切っているということか。

「では、候補にユーリを追加する」

「承知いたしました」

案の定、ブラッドは特別驚いた様子は見せない。

「私の方からお伝えしましょうか?」

「いや。ユーリは、クリスが王太子と同一人物だと知らぬままだ」

もう何度か顔を合わせているが、ユーリとは王城勤めのクリスとしてしか接していない。