イブキはそう言うと大声で笑い始めた。


あたしは驚いてイブキを見つめる。


「どうして笑うの?」


「だって、自分の価値なんて普通見えるもんじゃないだろ?」


イブキは笑いを押し殺して言った。


あたしは言葉の意味が理解できなくて瞬きを繰り返す。


「どういう意味?」


「どんな努力だって、成果がついてこないと目には見えないだろ? コンテストで入賞するとか、テストでいい点を取るとかさ。でも、いつもでも成果が出るとは限らない。


テスト当日に熱を出して、実力を発揮できなかったりもする。だけど、それで価値がないって判断する?」


イブキの言葉にあたしは左右に首を振った。


努力はしていても成果がついてこない場合がある。


運が悪かったと思っても、本人に価値がないだなんて思わない。