あの日、須崎くんには同期のみんなに全て話してほしいとお願いした。浮気のことも、妊娠のことも、全部。私からは、もう一度話す気力なんて残っていなかったから。


 すると、すぐにみんなが会いにきてくれた。須崎くんに話した3日後のこと。

 終業後、一人でいた会議室に揃って現れ、みんなの顔を見た瞬間、勝手に涙が溢れた。


 ひな子は、自分のことのように泣きじゃくっていた。南は、何も言わずにぎゅっと私を抱きしめてくれた。紗和ちゃんも、「ひどいひどい」と怒りながら泣いてくれていたっけ。

 そして、一番意外だったのは、雪哉。見られないように少し遠くに立ちながらも、目を潤ませていたのが見えた。

 みんな大好きだ。


 私は須崎くんと目が合い、話してくれたことへの「ありがとう」という気持ちをこめて、泣き顔のままニッと笑ってみせた。

 私は、周りの人に恵まれている。こんなに心配してくれる友人がいて、後輩がいて、幸せだった。