軽いなぁと思って───そう、誤魔化すように笑った沖田さん。


なんだったんだろう…?


お祭りに行けなかったことの悔しさ、それでもまた違うものが見れた嬉しさ。

感じたことのない気持ちに、ふわふわと宙に浮いてるみたいで疑問はすぐに溶けてしまう。



「災難だったなぁ」


「揃いも揃って泥だらけじゃねえか」


「梓、転んじゃって。泥と雨で最悪ですよ」


「の割にゃ満足そうな顔してるがな、総司お前も」



屯所に戻れば、泥だらけの私達を見て安心するように出迎えてくれた近藤さんに土方さん。

2人共浴衣を着ていて、どうやらこれからが本番だと言って笑っている。



「梓!一緒に風呂入ろーぜ」


「平助。梓少し風邪気味だから先に入らせてあげて」


「そうなのか?さっきまで元気だったじゃん」


「雨に濡れたし転んだからさ。子供っていうのはちょっとやそっとのことで体調崩しやすいんだよ」


「へいへい。総司って本当にガキの扱いだけは一丁前だよなー」



お風呂から上がれば、もう1度土方さんに浴衣を着付けてもらった。


先程もらったお金を返そうとすれば、「俺は1度くれてやったモンは貰わねえんだよ」と言って好きに使えと言う。



「宴会だ。近藤さんも本当は祭りに行きたかったんだと」



それは私があんなことを土方さんに話したから…?

だって土方さんだって浴衣を着て、少しだけ優しい顔をしてくれてる。


そんなものを、考えないようにした。