雨ばかり続いていた空はその日、すごく天気が良くて。


だからこそ心地よく寝れたからか、いつもより遅くに目を覚ました。

今日は子供達にお話を聞かせてお買い物にも行かなくちゃ。


井戸から水を汲んでパシャパシャと顔を洗う。



「わぁ、雲1つない…」



飛行機雲も空を隠すような高いビルもない、この時代。


木漏れ日の入る勝手場に、1人グツグツ朝食を作る黄色い背中。

女が動く度に簪は光り、少し長く伸びた髪が吹き抜けるそよ風に揺れた。



「───…これで、おしまい」


「ええ、続きは?」


「続きは…今はまだ無いの」



その少女は今もこの町のどこかで生きている。

そして、その少女の中にいつだって彼等も生きているのだ。


なんて説明は少しだけ難しかったかなぁ…。



「その怖くて優しい鬼さんは、もうその女の子のところへ会いには来てくれないの?」


「そーだよ!だってその女の子、ずっとずっと鬼さんを待ってるのに!そんなの可哀想だよ!」